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Dig into your Heavy life – 詩音(地底湖) – 後編

Dig into your Heavy life – 詩音(地底湖) – 後編

Dig into your Heavy life – 詩音(地底湖) – 前編のつづき。

矜持・偏愛・向上の3つのテーマから肉薄していくインタビューDig into your Heavy life。初回の相手はJapanese Abyssal Coreを掲げ活動している地底湖の詩音氏。今回はその後編である。

インタビュアー:外山鉛
写真:ばたこ(アーティスト写真、ライブ写真は除く)

トロプリはほんとにかっこいいですよ

鉛:はいはい。じゃ次の質問します。偏愛するもの。もうめっちゃ好きとかこれがないとダメみたいな。全然軽い好きでもいいです。なんか好きなものある?

詩音:なんだろうな……(しばらく考え込む)2、3年前に当時社会人2年目だったんですけど。その年のボーナスで購入したダブルのShottの革ジャンが僕が持っているものの中では1番愛しているかなと思います。

鉛:そうなんだ。

詩音:そもそもファッションにそこまでの強い興味があったわけじゃなかったんですけど、着れば着るほど自分の形になって。で、傷がついて汚れてそれがそのまま残って、だんだん積み重なっていくっていうところに惹かれて長いこと着てます。今日着てないけど(笑)。

鉛:なるほど、そうなんだ。

詩音:革ジャン以外にも自分が使っていくうちにだんだん形を変えていくものが好きで。

形が変わったり質感が昔と異なったものになったりというのを経て、いざ見返して長いこと一緒にいるな、みたいなので嬉しくなったりするっていうのが好きです。

鉛:物持ちがいい方なんだ。

詩音:どうなんですかね。好きなものは物持ちいいかも。だから愛しているものというか愛し方になっちゃうかもしれないんですけど。長いこと使ったり、一緒にいたりして何か形を変えていくっていうことに嬉しさを感じる場合が多いですね。そういう意味で革ジャンとか好きです。

鉛:皮製品全般が好き?

詩音:そうですね。革自体に興味はすごくありますね。(カバンから財布を取り出して)財布も革なんですけどめちゃくちゃ色変わってて。すごい傷がたくさんついてるんですけど、こういうのが積み重なってくるとなんかすごい嬉しくなりますね。

鉛:なるほど。そう来るとは思わなかったな。てっきりプリキュアの話が聞けんのかと思ってた(笑)。

詩音:全然話しますよ(笑)。

鉛:プリキュアの話は使う使わないは別として(編集者注:結局使いました)。俺に教えてほしいんだけどプリキュアの魅力を。

詩音:プリキュアの魅力……ある時期から萌えアニメを見られなくなって。萌えアニメ好きだったんですけど。なんか作り手の意図を感じると萎えちゃう。

鉛:あ、作り手の意図を感じると萎えちゃうってのはなんかわかる。

詩音:そういう気持ちがどんどん、どんどん強くなって。

鉛:めっちゃわかる。

詩音:なんかここで「あっ、俺の下心を揺さぶってるんだな」と。こういう演出で俺をちょっとドキッとさせようとしてるんだなっていうのを感じるとそのドキッとさせようとしてるおっさん(製作者)の手つきが見える。

鉛:うんうん、めっちゃわかるわぁ。

詩音:ちょっとエッチなアニメとか見てるとその奥にいるおっさん(製作者)と目が合う(笑)。

鉛:やっぱアダルトコンテンツはそれが顕著だよね。俺も以前やっていた仕事でひたすらAV見てたからさ。だんだん製作者が意図する抜かせどころがわかってきて、こういう構図で撮ってここで抜かせたいみたいな監督の意図がやっぱ見えてきて。なんか大体抜かそうとさせるためにこの構図入れるよなみたいなのがパターン化してきて。そういうのがだんだんわかってきて……

詩音:そう、まさにそういう台本が見えるっていうか撮影現場が見えてしまうみたいな。

鉛:そうそう、確かに萌えアニメもそれあるね。俺は元々萌えアニメ好きじゃないんだけど、なんかそれはめちゃくちゃ感じてて。なんかオタクに媚びてんなって。

詩音:そうそうそう。で、そういう気持ちの中でプリキュアを見た時に。僕じゃなくて子供に向いてるので。

鉛:そうだね。

詩音:目が合わないんですよ(笑)。 作ってるのは多分おっさんだと思うんですけど、目は子供を向いてるんですよ。

鉛:そうだよね確かに。

詩音:で、僕はもう大人なので違った角度からそのアニメを楽しむことができたんですよ。お子さんが見てどう感じるかっていうのを第一に考えて作られているお話、演出、アニメーションなので、すごく自分自身もピュアな気持ちで見られるんですよね。で、やっぱり話が面白くて。子供が見てて飽きないように作られているから。

鉛:あーなるほど。

詩音:ちゃんと感情の動きとかが一話一話凝縮されてるんですよ。

鉛:あー、さっき言った話(そこにあることが美しい、ただそこに存在することの面白さを追求したいと話していたこと)ともちょっと繋がってくるね。

詩音:そういうところで面白いなと思って見るようになって。やっぱセリフがね、セリフがいいんですよね。セリフがほんとによくて。やっぱ大人向け、成人向けのものだと1歩グレードをちょっとおしゃれにして、大人を騙してやらないとなみたいな。そのエンジンがちょっと寒い場合が結構多いんですけど。

鉛:なるほど。

詩音:そういったその大人向けのスイッチをグッと入れずに子供向けにエンジンを切った上で、ピュアな状態で言葉を選んで演出もそういう感じでやっているから、すごく芯になってる部分だけちゃんと味わえるんですよね。なんかそういうあざとい余計な化粧していないものを楽しむことができる。

鉛:へえー。

詩音:まあ、ある程度はちゃんとロリコン入ってるんだと思います(笑)。言い逃れできない。僕はやっぱりそういう女児の可愛さみたいな、小さい女の子の健気な姿みたいなものにある程度なんか素敵だなって思ってしまってる部分があると思うんですけどね。それを認めつつ、やっぱ面白さっていうとそこかなっていう感じてます、はい。

鉛:今のプリキュアも見てんの?

詩音:見てますよ。今から3つ前の「トロピカルージュプリキュア」っていう作品があるんですけど。それが僕はアニメの中で1番好き。「トロピカルージュプリキュア」がおすすめです。

トロピカル~ジュ!プリキュア | 東映アニメーション

「トロピカル~ジュ!プリキュア」(トロプリ)メイクでチェンジ!ムテキのやる気!「…
www.toei-anim.co.jp

鉛:そうなんだ、デリシャスなんとかじゃなくて?

詩音:あ、「デリシャスパーティープリキュア」。略してデパプリではなく、その1個前の「トロピカルージュプリキュア」略してトロプリですね。

鉛:トロプリかぁ〜全然わかんない(笑)。

詩音:トロプリはほんとにかっこいいですよ。

鉛:何人出てくるのそれ。

詩音:最初のプリキュアは4人です。

鉛:あー4人系ね。

詩音:で、プリキュアっていうのは大抵追加戦士もいるので。

鉛:いるね。

詩音:物語の中盤で5人になります。

鉛:敵が味方になるパターン?

詩音:それもありますし、サポートキャラとかがプリキュアになるパターンもあるし。妖精とか人間じゃないやつがプリキュアになるパターンもあるんですよ。

鉛:プリキュアなぁ、俺「YES!プリキュア5」ぐらいまでは見てたのかな。

詩音:プリキュア5はココとナッツがやっぱ面白い(笑)。

鉛:全然覚えてないけど居た気がする。

詩音:あのイケメンが妖精になって「ココー」みたいな高い声で喋り出して。で、またイケメンに戻ると「(イケボで)やぁ」みたいになるあれがめちゃくちゃ面白い(笑)。

鉛:あのちっちゃいやつらか、妖精の……いやでもプリキュアをそういう観点で見たことなかったからなぁ。

詩音:なんかほんと薄汚れた汚い心にですね、染みますよ。

鉛:もう1回見てみようかな。TVerで見れるもんね。

詩音:そうですね、TVerで見られるし、今だとabemaでたまに全話無料とかやってます。

鉛:そうなんだ。デリシャスパーティープリキュアはちょっとだけ見たんだよな。周りのおっきいお友達がすごい話題にしていて。

詩音:うんうん。

鉛:でもなんか何回か見たけどハマれなかった。

詩音:結構デパプリはプリキュアファン向けというか、あんまり新規向けの作品じゃないかもしんないです。

鉛:そういうのあるか。なるほどね、プリキュアの話は個人的に聞きたかった。

詩音:いくらでもできますよ(笑)。

コーヒーの匂いが香る中で静かに朝が始まっていく感じが好きなんですよ。

Dig into your Heavy life - 詩音(地底湖) - 後編
鉛:じゃ、次が向上ということで。QOL(Quality Of Life、生活の質)をあげるもの。そんなアイテムとかあれば教えて下さい。

詩音:1個パッと思いつくのは……もうルーティンと化してる毎日味わってるものがあって。コーヒーなんですけど。コーヒーを豆から電動ミルで挽いて沸かしていて。

鉛:電動ミル持ってるんだ。

詩音:はい。Kalitaのやつ使ってます確か(編集注:Kalitaではなかったようです)。別に高い豆買ったりしてやってるわけじゃないんですけど。もともと頭が痛かった時期があって。偏頭痛がめちゃくちゃ大変だった時期に、頭痛にいいらしいってことで、コーヒー飲み始めたんです。


鉛:へえーそういう理由で飲み始めたんだ。

詩音:はい。で、自分で入れてみっかってやってるうちにだんだんミルもいいものにしたいなと思って買いました。本当に毎朝欠かさずに飲んでますね。

鉛:豆とかにこだわりはあるの?

詩音:豆にこだわりはそんなにないんですよ。

鉛:どこで買ってるの?

詩音:近所のチェーンのコーヒー専門店で買ってるんですけど、そのお店のブレンドを買ってますね。せっかくだからそのお店のチョイスで楽しみたいなと思って。出先とかでなんか豆売ってるところがあったらあとちょっとか買おうかな、みたいな。

鉛:なるほど。

詩音:はっきり言って、一定以上のクオリティの豆であれば全部美味しくて。

鉛:まあ確かにね。

詩音:かつ、別にそんなに上を求めたい気持ちはない(笑)。「美味しいな〜これ毎日飲みたいなあ」というよりは、ある程度美味しければなんでもいいかなって。

鉛:なるほどね。俺もコーヒー豆から挽いて飲んでるけど、自分もこだわりがなくてスーパーで豆で売ってる時があったら買ったりとかしてるなあ。

詩音:なんか電動ミルでウィーンってやったときの刺激とか、お湯を入れてポットに移してから注いでっていう一連の動作をして、コーヒーの匂いが香る中で静かに朝が始まっていく感じが好きなんですよ。

鉛:とてもおしゃれな発言ですね(笑)

詩音:でも大抵そういう時にパンツ一丁なんですけど(笑)

鉛:(笑)。

人間賛辞みたいなものが嫌いですね。人間こそ崇高で、人間の知性であったりとか、そういったものが優れているという風な見方をするのが嫌ですね。

Dig into your Heavy life - 詩音(地底湖) - 後編
鉛:最後の質問、嫌いなものはなんですか?

詩音:嫌いなもの?

鉛:もうなんでも。物でも人でも現象でもこの社会でも。社会はみんな嫌いだろうけど(笑)……

詩音:(笑)。嫌いなものか、嫌いなもの……嫌いなものか。いっぱいあるけど、いざどれにするってなると何かなぁ。なんて言ったらいいかなあ、基本は人類が嫌いです。うん。 滅亡してほしいと思ってます。で、すごく理由をざっくり説明すると、知性を持ちながらかつ、動物本来の欲望も持ち合わせていて。で、その矛盾を人類が作り出した倫理観とか法律とかそういったものでごまかして都合のいいように生きている(ところが嫌い)。

鉛:そうだね、うん。

詩音: 僕はそれが気持ち悪くて。

鉛:なるほど。

詩音:なので自分自身の存在も広い視点で見れば嫌いなんですけども。

鉛:まあそうなるよね……どこにどういう気持ち悪さを感じるのかもう少し詳しく教えて。

詩音:……そうですね。もうすごいざっくり説明すると、人間賛辞みたいなものが嫌いですね。人間こそ崇高で、人間の知性であったりとか、そういったものが優れているという風な見方をするのが嫌ですね。

鉛:なるほどね。

詩音:別に人間が優れたものだとは感じないし、人間の存在によって多くの命は失われていると思うし、苦痛がたくさん生まれていると思うんです。それは種が生きていくには仕方のないことかもしれないんですけど、でも仕方なく命を殺して僕はその上であぐらをかいて生きているっていう気持ちだけは忘れないようにしたい。で、それを忘れた奴らを音楽の力でぶっ殺したい(笑)

鉛:(爆笑)。急にぶっ込んできたね。

詩音:そうとは思ってないですけどね(笑)、本当は。そういう部分を私たちはそういったもんだから、私たちは倫理観と法律に則って人間は人間らしく素晴らしい生き物として生きてますっていうのが嫌ですね。 すごい薄気味悪さを感じます。

鉛:全てをそういう法律とか倫理で肯定化して生きてる様が気持ち悪いと。

詩音:そうですね。僕自身、肉の美味しさに勝てずに動物を(間接的に)殺して、野菜を食って生きてはいるんですけど。でも自分が殺戮者の一員であることは忘れずに日々を過ごしたいなと思ってます。

鉛:なるほど。

詩音:っていう話をするとなんか周りの人をすごく嫌な気持ちにさせる場合が多いので(笑)、あんまり話さないんですけど。

鉛:確かにね。職場で言っても一切共感されない話だよね。

詩音:そうですね、そうです。

鉛:バンドマン同士だったらすごい共感してくれる人いっぱいいそうだけど。でも自分もその気持ち悪さを感じるし、やっぱりそこを忘れちゃいけないなみたいな気持ちはある。牛肉はパックのまま育ってんじゃないぞって話だよね。牛を殺して、皮を剥いで肉を裂いてパック詰めにして私たちの手元に来てる。そこを忘れちゃだめだよね。

詩音:そうですね。

鉛:なんか最後言い残したことあればどうぞ。

詩音:地底湖はJapanese Abyssal Coreを標榜し、深みから届く呪術歌謡としての音楽を作っています。混濁した感情とそれに反響する音を組み合わせ、呪いとして演奏しています。重く荒々しい中に様々な音楽的要素、日本語詩を展開する沈む鉛の音楽と重なる部分が多いのではないかと考えています。当日を楽しみにしています。沈みゆく夜を共に感じましょう。

告知

Dig into your Heavy life - 詩音(地底湖) -

2025/02/23(日)@大塚 Bar地底
沈む鉛企画「暮らし × 11.34」Vol.9

[ ACT – RITUAL – ]
地底湖
沈む鉛

[ DJ – SOUND MASSACRE – ]
reco

OPEN: 19:00
CHARGE: 2,000yen + drink