歩きながらお酒を飲む最高に健全で不健全なカルチャー、「歩飲」。一人でそっと楽しむのもいいが、誰かと一緒にやるのもまた格別。
だったらハードコアのシンガロングのように、歩飲もALONG(アロング)してみようじゃないか。
──そんなわけで歩飲ALONG第3回は伊藤氏と中目黒、代官山、渋谷エリアを歩飲する。

写真・インタビュー:外山鉛
鉛
じゃあ自己紹介を簡単にお願いします。
伊藤
AKUTAGAWA FANCLUBっていうバンドとGATTACAっていうバンドでギター・ボーカルをやってる伊藤秀人です。平成元年1月11日生まれです。
鉛
どういうきっかけで知り合いましたっけ?
伊藤
多分SPOILMANがドムスタで企画やったときの打ち上げかな。でもその時はあんまり喋らなかった。
鉛
そうそう。本当に初対面だったし。そのあと多分ライブを観に行ったような。
伊藤
そっか、観に来てくれたのか。
鉛
それですげえって思って。ミッシェルガンエレファントとノイズロックを同時にやってるバンドがいるなんてって結構自分の中では衝撃が走った。自分のまわりにこんなかっこいいバンドやってる人がいるんだと思って。
伊藤
めちゃめちゃ嬉しい。
なんかちゃんと婚約指輪も買って生活もして仕事もしてて、で中目黒とかふらふら歩いてるっていうその事実はすげえ幸せなんじゃないかって思って

鉛
この街の第一印象はどんな感じですか。
伊藤
おしゃれですね。
鉛
おしゃれですね。確かに。
伊藤
そう。なんかこういう若者の街みたいな方がなんか東京って感じがする。
鉛
なるほど。確かに東京と言って思い浮かべる景色って結構人それぞれかも。同じ都会ではあるんだけど、ほんとどこを切り取るかって感じですよね。
伊藤
他にも東京に住んでる人たちが生活してるいろんなところから人が集まってるわけじゃない感じが都会ってイメージ。

鉛
はいはいはい。今回は歩飲する場所をなんで中目黒にしたんですか?
伊藤
以前、知り合いがやってるお店があるっていうから婚約指輪を中目黒に買いに来たときがあって。9月ぐらいだったんだけど。それで婚約指輪買って歩飲してたらすごい気分がよかったから今回中目黒にした。
鉛
なるほど、確かに幸せな気持ちになりそう。今日もなかなかの天気の良さというか、ちょうどいい気候。
伊藤
俺、地元が福井県で大学で神奈川出てきて、でも別に新卒で就職とかしなかったんだよね。で、結構わりとぷらぷらしてるって感じだったんだけど、なんかちゃんと婚約指輪も買って生活もして仕事もしてて、で中目黒とかふらふら歩いてるっていうその事実はすげえ幸せなんじゃないかって思って。
鉛
なるほどなあ。大学神奈川だったんですか?
伊藤
うん、そうだね。
鉛
名古屋はドラムの方が名古屋出身だったから?
※AKUTAGAWA FANCLUBは結成当初東京と名古屋を拠点とする2ピースバンドだった
伊藤
ドラムのやつも同じ大学だったんですけどそいつは就職して名古屋に飛ばされちゃったの。でも結局仕事辞めて、服が好きなやつだったから古着屋を名古屋でやりだしてそのタイミングでもう一回バンドやろうってなって名古屋と東京をいったりきたりしてた。でも一応在学中にバンドを結成した。まあ半年留年しててそのタイミングでなんとなくみたいな感じ。
鉛
ああ、なるほど。名古屋のバンドっていう感じでしたよね初期のAKUTAGAWA FANCLUBって。
伊藤
ああそうかも。
鉛
自分は完全にその認識でした。
伊藤
あんまり東京でもライブをやっていなかったかも。
鉛
東京来てから初めてバンドを組んだみたいな感じですか?
伊藤
高校生のときコピバンはやったよ。
鉛
オリジナルはやってなかったんですか?
伊藤
やってなかった。曲は作ってたけどね。やっぱり田舎って楽器をやる人がいないじゃん。
鉛
まあそうですね。
伊藤
軽音楽部とかもないしさ。
鉛
ないですね。
伊藤
スタジオもないしさ。
鉛
あ、そうなんですね。
伊藤
一応あったけどピアノレッスン用すごいでかいとこぐらいしかなかった。
鉛
そうなんすね。じゃあ、音楽の趣味が合う同級生とかいなかったんですか?
伊藤
んーあんまりいなかった。いや、でも普通にアジカンとかはみんな聴いたし俺も好きだったし。高校生のときに同じクラスのやつにスカパラが大好きなやつがいて。そんときにちょうどゲストボーカルの曲を何曲か出してて。で、「カナリヤ鳴く空」っていう曲のゲストボーカルがチバユウスケで、そっからそいつがミッシェルを聴いたらしくて。で、そいつに、「いや、お前これ聴いた方がいいから聴け」って言われて渡されたのがラストツアーのライブ音源「LAST HEAVEN’S BOOTLEG」を渡されて聴いた記憶がある。
鉛
じゃあそれきっかけでミッシェルにハマった?
伊藤
いや、でもそんときはなんかそんなにハマんなかったけど。
鉛
あ、そうなんすね。
伊藤
本格的にハマったのは大学入ってからだったかもなぁ。
鉛
じゃあ地元いた頃はそんなに(周りから)浮もせず、みたいな?
伊藤
うん、割と馴染んでた。体育祭の応援団とかやってた。
鉛
意外っすね。もっと近づくもの皆傷つけるぐらいな感じかと。
伊藤
全然そんなことない(笑)。
鉛
意外と普通だった。そうなんだ、自分が割とそっちタイプだったから(笑)、誰とも話し合わねえなって。
伊藤
じゃあもう高校生ぐらいからそういうアングラ的なものが好きだった?
鉛
ですね。それこそドゥームとかメタルとかを聴いてた。だから、誰とも話が合わないしみたいな。
伊藤
そりゃ話合わないわ。
鉛
でも自分の場合はもう10代の頃からハードコアバンドを社会人の人と一緒にやってたから。そこでいろんな大人と出会いみたいな。やっぱ大人と一緒に活動すると、同級生が途端にガキに思えちゃって、ほんとガキなんすよねっていう。
伊藤
余計に周りと距離感が生まれたと。
鉛
そうですね。
こういういかにもオシャレっていうか、アーバンって感じが東京っぽいなって思う

鉛
ちなみにこの中目黒・代官山をお酒に例えるならアルコール何パーぐらいの街ですか?これは毎回聞いている質問なんですが。
伊藤
4パーぐらいかな。
鉛
お茶割りぐらいですかね。でも確かにそのイメージですよね。そんなに飲み歩くような街ではないから。
伊藤
でも目黒銀座だっけ?飲み屋街もあるけどね。まあでもそんなアルコール度数は高くなさそう。
鉛
基本治安がいいし上品な街だから、そんなにベロベロになるイメージはない。
伊藤
さっきも言ったけど、田舎出身だからこういういかにもオシャレっていうか、アーバンって感じが東京っぽいなって思う。
鉛
その気持ちはめっちゃわかります。
伊藤
人によってはまあいけすかないと思うかもしれないけど、俺は嫌いじゃない。
鉛
地元は何があるんすか。
伊藤
恐竜の博物館があったね。
鉛
そうでしたよね、福井といえば恐竜ですよね。
伊藤
それが有名だね。
鉛
福井の恐竜といえばフクイリュウですよね?
伊藤
そうそう。
鉛
海の中にいる系のやつ?
伊藤
いや、陸のやつだね。鳥みたいなやつ。
鉛
恐竜はだいたい男子は通りますよね。子供のときやっぱ通りました?
伊藤
通った。めちゃめちゃ通った。大好きだった。
鉛
それで地元に博物館があるって最高ですね。男児にとっては楽園みたいな場所かもしれない。
伊藤
でも博物館ができたのが俺が小5くらいのときできたからね。
鉛
へえなるほど。フクイリュウが見つかったのが割と2000年近かったんじゃなかったでしたっけ?
※正確には発掘されたのが1989年、新属新種の恐竜として命名されたのが2003年
伊藤
そうなんだ。割と恐竜の化石が見つかりやすいらしい。
鉛
そうらしいですよね。もう完全に恵比寿ですね。
伊藤
うん。あれ、ここら辺代官山じゃないっけ?

鉛
恵比寿ですね。代官山ってどっちかって言えばここの交差点を左折しないと離れていっちゃう。
伊藤
間違えた、じゃあ戻ろう。
鉛
恵比寿は用もなく来ることがたまにありましたね、自分。なんかやっぱ(昔働いていたから)懐かしくて。昔住んでた家の近所に無性に行きたくなるみたいな、あの感覚に近いですね。
伊藤
わかるわかる。
鉛
1番長いこと働いてた土地だし当時はリモートワークとかでもなかったからほんとに週5フル出社で毎日だった。だからそれでいうと恵比寿以外にそういう街がないっすね。自分の住んでるエリア以外に足繁く通ってた街って。
伊藤
俺の場合、目黒に東京都庭園美術館って美術館があるんだけどさ。
鉛
はいはいはい。
伊藤
昔はそこで警備員やってたことがあって。それも結構3、4年ぐらいやってたんだけど。24時間警備で夜勤とかもあって。もう日勤やって夜勤やってみたいな。
鉛
はいはい。
伊藤
20代後半の結構な時間をそこで過ごした。だから目黒は(鉛が恵比寿を懐かしく思う気持ちと)同じ感覚。
鉛
なるほど。なんか生存確認じゃないけど、行きたくなりますよね。警備員って何してるんすか?基本そんなに何かあるわけじゃないじゃないですか。
伊藤
まあ見回りとか、美術館の中に立ったりとか。
鉛
あーはいはい。
伊藤
あと正面の正門ところ立って道案内とか。それと駐車場があるから車入ってきたときに対応しないといけない。
鉛
じゃあ意外とやることあるんですね。
伊藤
意外とやることあるけど、そんなに人気な美術館じゃないから。
鉛
確かにちょいマイナー。
伊藤
よっぽどなんか人が来そうな展示をやってる時じゃないとあんまり忙しくない。
鉛
でも1回行きましたね庭園美術館は。何を見たかがちょっとあんまり覚えていない。服の展示みたいなやつ。
伊藤
あーなんかそういうのあった気がする。結構前?
鉛
そうっすね、3年以上は前。
※『奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』でした
伊藤
ファッション系だとあるブランドの展示もやってて。
鉛
はいはい。
伊藤
すげえめんどくさかった(笑)。
鉛
そうなんですね。何がめんどかったんですか?
伊藤
展示の準備とかをするんだけど、手伝いしてたのが学生だかなんだかわかんないけど、なんかおそらく教え子みたいなのが来てて。なんか普通に敷地内で火使ったりとか。
鉛
あー、すごいやんちゃだ。
伊藤
で、夜中に来て門開けろとか。
鉛
へえ、それはめんどいっすね。
伊藤
あの手の奴らはそういう感じなんだなっていうイメージ。
鉛
なるほどー。
後編へ続く。
伊藤氏のインタビューはこちら
歩飲 - 伊藤(AKUTAGAWA FANCLUB, GATTACA)の場合 -

